「怖い絵展」 ぜひ見て欲しい絵があります。

第99回夏の高校野球7日目と8日目の間の8月15日。
この日、天候不良の為に試合中止になった兵庫県に僕はいました。


目的は中野今日子さんの著書、【怖い絵】シリーズ刊行10周年を記念して開催されている怖い絵展

絵画を感性頼りに見るだけではなく、その背景や物語など、一枚の絵の中に散りばめられた情報を理解する事で、色んな角度から絵画を楽しむ事が出来るという試みです

約80点の作品の中で一番印象に残った作品
【オデュッセウスとセイレーン】



音声ガイドの説明を聞きながらこの絵を見て僕はオデュッセウスのエピソードに首ったけです。

タイトルにも書いた【サイレン】ですが
サイレンは、その語源をギリシャ神話に出てくるセイレーンの名前に由来する言葉だそうで、

セイレーンとはギリシャ神話に出て来る怪物であり魔女や妖精の事を指します。
セイレーンの声、歌を聴いたものはその声に魅了され、海に身を投げセイレーンの餌食になる。

この絵に描かれている3人の女性
1人は下半身が魚の姿
1人は腰に藻を巻きつけ
1人は青い布を巻きつけています

セイレーンは海の中では人魚の姿
海から上がる時に魚から藻に変わり布に変わる。
この絵の3人のセイレーン達はその姿の移り変わる順序の説明も含めてかき分けてあるようです。

そして、そのセイレーンをよそ目に黙々と舟を漕ぐ男達とどこか虚ろげに空を見上げる紐で柱にくくりつけられた男性。
この柱にくくりつけられた男性こそが英雄オデュッセウスなんですが…オデュッセウス、セイレーンの声を聴きたいが為にあえて柱にくくりつけてもらったものの案の定、我を忘れてセイレーンの棲む島に近づくよう叫びます。
そんな英雄を紐で抑え、部下達が黙々と舟を漕いでセイレーンから逃れている様子が描かれているのがこの絵なんだとか。

部下達がセイレーンの声に惑わされず、オデュッセウスの命令を完全にスルーしているのも
セイレーンのいる海域に入る前に立ち寄った島で助言を貰い、耳に栓をしているからだそうでセイレーンの声もオデュッセウスの命令も全く聞こえる事なく黙々と舟を進めることが出来たのだとか
(因みに蜜蝋で栓をしているのだそうです。)

「オデュッセウス栓しておけよ!」
と思わず突っ込んだのがこの一枚です。

映画や小説、マンガやアニメとは違う、ただ見ただけではなかなか分からない一枚に込められたストーリー。

この「怖い絵展」だけではなく、詳細をネットで簡単に調べてしまえる今の時代こそ気軽に絵画を楽しめる良い時代なのではないかなと思います。

【絵画はエンタメ】

「絵は誰が見たっていいし見る人によって受け取り方も違う。何が描かれていたのか、何を伝えようと描いたのかを知っているのは描いた画家だけなのだから…」

そんな事は分かっていても
高い感性やセンスありき、文化的で専門的な知識が無いと楽しめない敷居の高いイメージを持っている方も少なくないのではないでしょうか?

因みに僕がそうでした。

もし、美術館へ行ってみたいけど、絵はよく分からないし…と思っている方はぜひ行って欲しいのが【怖い絵展】なのです!

「怖い絵」と言ってもホラーやグロテスクな展覧会ということではありません。

「その絵を見てから、一枚の絵の中に込められた意味を理解してもう一度見ると気づく事がたくさん出てきて……ね?…怖いでしょ?」

そんな展覧会なのです。

因みに、先ほどの
【オデュッセウスとセイレーン】ですが、
その隣に
【オデュッセウスに杯を差し出すキルケー】という絵が展示されています。

セイレーンから逃れる為の助言をくれたのがキルケーなのですが、その助言の前にまた別のストーリーがあります。

ここでもまた、僕は
「オデュッセウスお前www」
と突っ込んだのですが

もし見に行かれて突っ込んだ方、
ぜひオデュッセウスで一杯やりましょう。

それでは。

☞to be continued

この記事を書いた人

ヒロユキ

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